ブランド品は贈答品として経費にできる?税務署に否認されないための重要ルールと節税の秘訣
「大切な取引先への手土産に、少し奮発してブランド品を贈りたい」「でも、高級なブランド品を贈答品として経費に計上して、後で税務署から指摘を受けないだろうか?」
ビジネスを円滑に進める上で、感謝の気持ちを形にする「贈り物」は非常に効果的です。しかし、それがバッグや時計、財布などの「ブランド品」となると、税務上の判断は一気にシビアになります。
せっかくの良かれと思った行動が、税務調査で「私的流用」や「給与扱い」と見なされてしまっては元も子もありません。
この記事では、ブランド品を贈答品(接待交際費)として正しく経費計上するための条件や、税務署に納得してもらうための証拠の残し方、さらには勘定科目の選び方まで、専門的な視点から分かりやすく解説します。
1. ブランド品の贈答品は「経費」として認められるのか?
結論から申し上げますと、ビジネス上の必要性があり、客観的な証拠があれば、ブランド品も「接待交際費」として経費にすることが可能です。
税務上の「接待交際費」の定義は、得意先や仕入先、その他事業に関係のある者に対して、接待、供応、慰安、贈答などのために支出する費用を指します。ここに金額の上限や、物品の種類に関する具体的な制限(「ブランド品は不可」など)は明文化されていません。
しかし、ブランド品は「換金性が高い」「自分で使うこともできる」という特性があるため、税務署からは非常に厳しくチェックされる項目であることを覚悟しておく必要があります。
経費として認められるための「3つの絶対条件」
事業関連性: その贈り物が、今後の売上アップや取引の維持にどう貢献するのか。
社会通念上の妥当性: 贈る相手との関係性に対して、金額が飛躍しすぎていないか。
私的利用の排除: 経営者本人や家族、従業員が使うためのものではないこと。
2. 税務調査で突っ込まれないための「具体的な対策」
「ブランド品を経費にしました」と言うだけでは不十分です。税務調査官が納得する「外堀」を埋めておく必要があります。
領収書だけでは不十分!「誰に・なぜ」を記録する
領収書の裏やメモに、以下の情報を必ず残しておきましょう。
受け取った相手の氏名・会社名・役職
贈答の目的(創業〇周年記念、契約締結のお祝い、お中元・お歳暮など)
贈答した日と場所
商品選定の「一貫性」を持たせる
例えば、普段から取引先に数千円のお菓子を贈っている会社が、突如として特定の人物にだけ数十万円のブランドバッグを贈った場合、税務署は「個人的なプレゼントではないか?」と疑います。
「その相手が自社にとってどれほど重要な存在か」を説明できる資料(取引実績のデータなど)をセットで管理しておくのが理想的です。
あえて「ロゴ入り」や「名入れ」を検討する
ブランドの価値は下がってしまうかもしれませんが、会社名や相手の名前を刻印・刺繍することで、「転売目的ではない」「他人に譲渡しにくい」という証明になり、経費としての正当性が格段に上がります。
3. 知っておきたい「勘定科目」の使い分け
ブランド品を贈る相手によって、処理すべき勘定科目が変わることがあります。ここを間違えると、相手方に税金負担が発生するトラブルにもなりかねません。
取引先への贈り物の基本は「接待交際費」
社外のビジネスパートナーへの贈り物であれば、一般的に「接待交際費」として処理します。法人の場合、資本金によって損金算入の限度額があるため注意しましょう。
不特定多数へのキャンペーンなら「広告宣伝費」
例えば、抽選で1名にブランド財布が当たるオープンキャンペーンなどの場合は「広告宣伝費」となります。この場合、特定の誰かへの利益供与ではないため、比較的経費として認められやすい傾向にあります。
自社の従業員への進呈は「福利厚生費」か「給与」か
成績優秀者への表彰としてブランド品を贈る場合、一定の基準を満たせば「福利厚生費」として処理できますが、あまりに高額なものや、特定の個人にだけ頻繁に贈る場合は「賞与(給与所得)」と見なされます。
給与扱いになると、所得税の源泉徴収が必要になり、従業員の手取りが減る可能性があるため、事前の設計が不可欠です。
4. 注意が必要な「換金性」と「資産性」の問題
ブランド品が他の贈答品と決定的に違うのは、**「資産としての価値」**を持っている点です。
10万円の壁と固定資産
通常、1個あたりの取得価額が10万円を超えるものは、消耗品ではなく「資産」として管理し、減価償却を行うのが原則です。
しかし、贈答品の場合は「渡した瞬間に手元からなくなる」ため、基本的にはその時の費用として処理します。
ただし、渡さずに会社で保管しているブランド品(展示用など)は、在庫または資産として計上しなければなりません。
転売やキックバックの疑いを避ける
税務署が最も警戒するのは、「ブランド品を購入して経費にし、それを売却して現金を作る」という不正です。
これを防ぐためには、百貨店の外商を通した購入や、クレジットカード決済を利用し、資金の流れを透明化しておくことが重要です。現金での高額購入は、余計な疑いを招くリスクがあります。
5. 結局、いくらまでなら「安全」なのか?
「〇万円までなら大丈夫」という明確なラインは存在しませんが、一般的なビジネスシーンでの目安はあります。
お祝い・手土産レベル: 1万円〜3万円程度(ほぼ問題なし)
重要な取引の成約記念: 5万円〜10万円程度(妥当な理由があればOK)
それ以上の高額品: 取引規模が数億円単位であるなど、極めて高い事業上の必要性が求められる。
中小企業の経営において、10万円を超えるブランド品を贈答品にする場合は、顧問税理士と相談の上、理論武装をしっかり整えておくことを強くおすすめします。
まとめ:信頼を築く贈り物、正しい知識で賢く節税
ブランド品を贈答品として経費計上することは、決して不可能なことではありません。大切なのは「ビジネスにおける必要性」を論理的に説明でき、それを証明する「証拠(エビデンス)」を揃えておくことです。
「誰に・何の目的で」を必ず記録する。
社会通念から外れない金額設定を心がける。
資産性の高い物品は、税務調査でのチェックが厳しいことを自覚する。
これらを守ることで、大切な取引先との良好な関係を築きつつ、健全な節税対策を実現することができます。
ビジネスの成功は、相手を思いやる心と、細部まで徹底した管理の積み重ねです。ブランド品という特別な贈り物を、貴社の成長を加速させる戦略的なツールとして活用してください。